スウェーデンで最もキャッシュレス化が推進の理由
世界で最もキャッシュレス化が進んでいる国はスウェーデンです。
2018年、モバイルペイメントのSwish(スウィッシュ)の利用率が現金を越えました。
Swishは、主要銀行11行による統一ブランドのサービスです。
24時間365日いつでもリアルタイムで利用できる決済システムを構築してきました。
スウェーデンでキャッシュレス化が拡大したのは、現金の切り替えがその理由の一つです。
約10年ごとに頻度で紙幣や硬貨が新しく発行されていて、古い紙幣や硬貨は一定期間を経過すると無効になります。
その度にスウェーデンの国民は銀行に通って古い紙幣や硬貨を変換しなければならなくてとても面倒です。
大量の現金が預金されるのですが、手続きなどの処理が大変ですからキャッシュレス化が推進されたのです。
スウェーデンの中央銀行はキャッシュレス化を推進するメリットしては数え切れないです。
現金の流通にはコストがかかりますし、キャッシュレス化により通貨の動きが把握できるメリットがあるからです。
中央銀行では将来に向けて、現金に代わる電子通貨e-krona(イークローナ)の発行も研究されています。
スウェーデンは国が明確な目的を持ちキャッシュレスを推進しています。
明確な目的は、結局のところ公平な課税です。
脱税やマネーロンダリングを許容しないで公平な課税をするためには、無記名の現金では限界があるということです。
スウェーデンでは、街の商店ですら電子決済できます。
今の日本の店舗普及率だと現金×電子決済の同時並行を余儀なくされます。
スウェーデン同様にキャッシュレスが進む英国では元々小切手の文化があった上で置き換えとしてのデビットカードの普及が進み、ロンドン五輪をきっかけにEMV規格のタッチ決済が一気に普及しました。
小切手文化が基本なのはフランスも同様です。
小切手の代わりにCBというデビットカードが普及しています。
またEMV規格のタッチ決済が普及し始めた頃に政府が関係企業に圧力をかけたため、手数料の関係でカード払いは10ユーロ以上とかいう制限を店舗側で設けていたのも殆ど無くなりました。
いずれにしても欧州で共通するのはデビットカードやクレジットカードのように銀行引き落としでして、銀行口座をおサイフとする点です。
欧州でもSuicaやEdyのようなプリペイド型電子マネーの試みはありましたが盛り上がりに欠けました。
既にデビットカードが文化的に定着した中では一手間必要なプリペイドはアピールしなかったのではと思います。
また基本的にはVisaかMasterの国際ブランドカードの決済ネットワークを利用しています。
これは国境をまたいで移動することが格段に多いため国単位でサービス事業者が独自の決済網を展開しても使いにくいため当然だと思います。
日本でキャッシュレスが遅れる理由は何よりも現金優先です。
日本はクレカの店舗手数料が高いため欧州型のキャッシュレス化はやりにくいし、Suica等も店舗手数料が高いので日本独自の電子マネーも十分に普及しなかったです。
QRコードは中国のように少数の事業者が支配権を確立するかは不明なのも気になります。
日本で、キャッシュレス化を民間企業がリードすることが当たり前だと思っている理由は、多くの決済ネットワークの構築に政府が関与していないからだと思います。
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