インフレでも円安止められない理由
日本銀行は、新発10年物国債に対して0.25%の指値オペを遂行して、なんとかして長期金利の急騰を抑制しています。
政府がインフレの物価対策に必死なのですが、物価変動に最速で適応するべきはずの日銀があまり積極的だとは感じないのがとても異質です。
日銀の黒田総裁にしても、世界の金融大国が時価会計で信用評価されているのを分析をするということを認識しているはずです。
長期金利が上昇して大規模な債務超過となってしまえば、日銀の信用は当然である上に円の信用までもが暴落してしまう最悪な状況に陥るのを理解しているはずです。
つまり、金利を引き上げなければならない情勢であっても安々と引上げできないのかもしれません。
政府関係者や日銀関係者の中には、「万が一、日銀が債務超過になっても、通貨発行権がある以上は債務超過の期間は一時的だ」という立場を堅固している人がいるようです。
しかしながら、このような偏った意見は金融界では全くの誤解にすぎません。
日銀の純利益となっているのは大半が通貨発行益となっていますが、2022度上期に限っては為替益によって3兆円弱の利益となったようです。
しかし、いつもは年間で1兆円から1兆5000億円ほどの利益にすぎないのが実情です。
FRB(米連邦準備制度理事会)のように年間で十数兆円の巨額の利子収入を獲得できていません。2%の金利上昇によって52.7兆円もの評価損となるのであれば、損失額を相殺するまでの期間を想定できません。
今のところ、日銀の純利益はだいたい年間で1兆円から1兆5000億円ほど増えています。
しかし、これから物価が上昇し出して、日銀が短期金利を引き上げなければならない状況に追い込まれると、単純に損失の継続が止まらない状態が恐ろしいです。
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