スーパーアプリとは何?統合アプリ争奪戦でLINEがWeChat・Alipay・等を追随
日常生活で活用できる統合的なアプリは「スーパーアプリ」と呼ばれている。
メッセージングやソーシャルメディア、決済、送金、タクシー配車、飛行機やホテルの予約、Eコマースなど、スマホで一般的に行われるサービスがすべて詰まっている。
サービス群が、一貫したユーザー体験のもとで統合されているのが特徴だ。
いくつもアプリを立ち上げる煩わしい手間が不要となり、ユーザーにとっての利便性は極めて高い。
■スーパーアプリが必要とされる理由
では、なぜスーパーアプリが必要とされるのだろうか?
最近、いつスマートフォン(スマホ)に新しいアプリをダウンロードしたか覚えているだろうか。
また、日常的に使っているものはどれくらいあるだろうか。
LINEやFacebook、Instagram、人によってはゲームやニュースなどのアプリは日々使用しているかもしれないが、毎日使われるアプリはそれほど多くない。
アプリストアには数えきれないアプリが登録されているが、そのほとんどが日常的には利用されていないのが現状だ。
視聴行動分析サービスの調査によると、毎日使われるスマホアプリは平均8個だという。
また、1カ月あたりに新たにインストールするスマホアプリの数は「1~3個」という人が最も多い。
また、スマホユーザーの50%以上が1カ月の間でスマホアプリを1個も追加していないというデータもあります。
なぜアプリを追加しないのか、その理由はいたってシンプルです。
新しいアプリを追加する度に「IDとパスワードの作成、クレジットカード登録」というお決まりの流れがあります。
利用者にとってはとても煩わしいからです。
一方で、1つのアプリですべての機能が完結でき、複数のアプリをログインしたり閉じたりしなくてもよくなれば、とても楽です。
もともとは、新興国で廉価なスマホにはたくさんのアプリが入らないから、どんどん1つに集約しよう、というモチベーションで生まれた気がします。
facebookが目指した世界でもあります。
圧倒的なトランザクションを得る方法として得策だと思われます。
これがスーパーアプリが必要とされる理由なのです。
■スーパーアプリはWeChat、Alipayなどが代表格
スーパーアプリの現状は分かりやすいです。
中国のメッセンジャーアプリ「WeChat」は、メッセージングから決済まで多くの機能を備えているため、アプリ内であらゆるサービスが利用できます。
中国ではWeChatと同様、アリババ傘下にあるAlipayが決済サービスに留まらず、配車やフード・デリバリーへと進出しています。
スーパーアプリへと進化を遂げた
インドネシアのGo-Jekは、配車サービスから始まったが、配送・支払い・食事・映画のストリーミング・マッサージや掃除といったサービスの予約まで網羅するようになった。
ソフトバンクが出資するシンガポールのGrabや、インドのPaytmもスーパーアプリの代表格だと思われます。
最近では、ウーバーがライドシェアビジネスのUberとフードサービスのUber Eatsを統合すると発表。
スーパーアプリ化が進むかもしれない。
■アジアでスーパーアプリが流行った理由
スーパーアプリが、中国や東南アジアで多く見られる点は興味深い。
アプリストアが生まれた米国や先行して展開されてきた先進国では、PCからモバイルへと徐々に移行してきたという経緯がある。
ソーシャルメディアや配送アプリといった新たなサービスが生まれ、徐々にユーザーからの認知を高めながら、ユーザーを獲得してきた。
米国では、SNSから動画からショッピング、他社サービスへのログイン代行など、何でもかんでもゴチャゴチャ機能を詰め込み、傘下のアプリさえ自己ブランドを冠し、さらには暗号通貨や決済まで手がけようとするフェイスブックがそれに近いと思う。
だが、欧米には確かにスーパーアプリに相当するものが少ない。ワンストップは独裁国家のようで気持ち悪いと思われるのだろう。
そのため、独立したサービスが乱立する状態になっている。
一方、新興国では近年、莫大な資金を調達した企業が、既にビジネスモデルが確立されたサービスを徹底的に模倣している。
特に、中国では米国企業が開発したアプリが規制されている背景もあり、WeChatやAlipayがメッセージングアプリや配車サービスなどの仕組みを一気に実装してしまったのだ。
ユーザー側に視点を移すと、近年、購買力をつけてきた層が初めてインターネットをつなぐのはPCではなくモバイル機器となった。
モバイルファーストの文化では、さまざまな独立したサービスを個々に利用するより、アプリを一度開けば何でもできる方が便利だ。
また、性能の低い安価なスマートフォンでは、何個もアプリをインストールするのが難しいという側面もある。
LINEは日本最大のコミュニケーションツールとなっているので、スーパーアプリに成り得るポテンシャルはあると思います。
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