セリアが100円こだわる理由!エネルギーや物価の高騰で100ショップ継続可能なのか
100円ショップ業界は大創産業、セリア、キャンドゥ、ワッツの4社で約9000億の売り上げになっているそうです。
他の要素も含めると1兆円市場というのが100円ショップ市場でした。
ダイソーを展開する大創産業が業界トップ。
国内に3790店舗、300円ショップなどを252店舗、海外では25の国と地域に2281店舗を展開。
トータルでは6300店舗以上というグローバル企業です。
セリアは業界2位ですが、高利益率で評判高い企業で、1店舗当たりで収益化の良い100円ショップです。
キャンドゥは2022年1月にイオングループになってから、2026年度の売り上げ1250億円、営業利益率5%の数字目標を掲げて躍進しています。
ワッツは同業の音通エフ・リテールを2021年にM&Aで獲得し、業界の中でも我が道を行く経営戦略で拡大測っています。
各社ともコロナ前までは順調に業績拡大してきました。
しかし、コロナ禍の緊急事態宣言の後には仕入れ原価の高騰や物流コストの負担によって業績悪化を引き起こしてしました。
大創産業は海外出店に力をいれているので、円安であっても比較的影響が小さいかもしれません。
一方で、他3社は明らかに内需型企業なので、かなりの打撃をくらっています。
この状況で100円ショップ業態は100円を続けるのが非常に困難になってきました。
3社の損益状況を検証すると興味深いのがわかってきました。
キャンドゥとワッツの売上高は500億円以上だとはいえ、利益は10億円ほどです。
営業利益率は1.3%、3.3%ということなので決して良いとはいえません。
キャンドゥの当期利益率は0.3%とギリギリの状況です。
これに対して、セリアの売上高は2000億円以上であり、粗利率が43%と両社と比較すると5%も高いです。
また、販管費率に関しては3社の中で最も低く、営業利益率は10.1%と業界ではトップクラスの利益率です。
では、どうしてセリアだけが100円均一にこだわり、100円以外の商品を導入しなくても経営できるのかわかってきたでしょう。
セリアは徹底してムダを省いて経費削減を真面目に実践しながら、43%という高い粗利率で経営しています。
取引先から値上げを求められても、限界があるとはいえある程度は頑張れる体力を持っていていると言えるでしょう。
セリアの河合映治社長が100円ショップの魅力について質問された際ときのコメントが興味深いです。
100円ショップ業界が躍進したのは単に安いからということではなく、値段を気にしないで買い物できるという特別な感覚が支持されたからだと発言しています。
過去の100円ショップでは値札が不要だったのは、全て100円だからです。
買い物カゴに入れた数さえ把握していれば、合計金額が分かるというシンプルな商売でした。
この100円ショップの価値観を考えてきたセイアならではの方針だと思われます。
セリアでは自動発注システムを活用して、店頭の回転率を効率よく高めています。
店頭の商品の出入りを活発にすることで、店頭に活気づくと同時に、商品回転率の高さが評価されています。
1万9000アイテムほどの商品量をそなえながら、年間商品回転率6.2回転を維持しているそうです。
AIやビックデータを駆使したデータ分析のお陰で、商品鮮度の向上をかなり意識しているのが分かります。
さらに、分析によって頻繁に展示する商品交換を実施してトライアンドエラーを繰り返し、毎月3割程度の商品を入れ替えるほどスピート感あります。
利益率の高い商品を増やし、取引先との協業に熱心で、厳選した商品を集中して販売することで、高い粗利を維持しています。
このような数字に裏付けられた経営によって、セリアは現在のところ100円という価格設定にこだわれるのです。
そのセリアも物価上昇のあおりなどを受けて消費者の財布のひもが固くなるとシビアに予測しています。
100円販売にこだわりを持ち続けていくと、売上は順調かもしれませんが、原価や経費の高騰による負担を消化するのが難しいと判断したとき、セイアがどのような経営戦略を行うのか気になります。
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