バーキンの訴訟騒ぎ!エルメスがNFTアートか模倣かで提訴した理由
「エルメス(HERMES)」は2022年1月14日、“バーキン(Birkin)”をデジタル上で模した“メタバーキンズ(MetaBirkins)”を製作・販売したメイソン・ロスチャイルド(Mason Rothschild)に対して商標権侵害を根拠にニューヨーク州連邦裁判所に提訴した。
ロスチャイルドは「エルメス」の“バーキン”に類似したバッグをデジタル上で100個製作した。
それを、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)で販売した模様です。
訴状の中でエルメス側は、ロスチャイルドが“メタ(meta)” という一般用語を加えるだけで『エルメス』の“バーキン”という商標を無断で乱用し、荒稼ぎしていると主張しました。
この論調に対してロスチャイルド側は同年同月の17日、インスタグラムで、騒動の原因となっているバッグは「アート」だとエルメスに対して反論しました。
具体的な内容は、偽物のバーキンを製作や販売しているわけでもなく、想像上のバーキンを描いたアート作品を完成させただけだという理屈です。
同時にバーキンのバッグのアート作品を作って売る権利があると主張しています。
「エルメス」はロスチャイルドに警告書を送付し、同時にOpenSea(オープンシー)にも通知しました。
オープンシーは出品一覧から取り下げて削除しました、一方で、「ラリブル(Rarible)」「ゾラ(Zora)」といったNFTマーケットプレイスでは販売されていた。
バーキンの正規品は9000~50万ドル(約100万~5700万円)で売買されている。
ロスチャイルドが出品し、2021年12月に売却された“メタバーキンズ”の値段は10イーサリアムでした。
およそ4万ドル(約450万円)以上にも値がついたことになり、驚きます。
そもそもエルメスという企業が試行錯誤しながら時間、コストや人員を投じて作り上げた商品を、「そのデザインがアートだから良い」というのは大いに疑問を感じます。
これはロスチャイルド側が明らかな失態をおかしたという声が多いです。
訴訟リスクを追っている盗作や著作権侵害物はどんな商品でも販売は許されないです。
非中央集権的なOpenSeaであっても、これを危惧してメタバーキンを削除したのは興味深いです。
今回の件で、NFTプラットフォームを健全に運営し続けるためには、中央集権のほうが適しているのかもしれません。
NFTが隆盛しつつある過渡期に発生したエルメスというブランドを巡る騒動によって、NFTに関わる諸問題が浮き彫りになったと思います。
NFTビジネスに対して、商標・著作権、模倣、芸術性、について司法がどのような判断を下すのか注目されています。とても重要な訴訟になりそうです。
コンテンツの価値を高めたり、新たなコミュニティづくりを活性化する分野に関しては、DAOなどの非中央集権のアプローチが適しているのかもしれません。
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