インボイス制度が個人事業主を苦しめる理由とメリットなど
インボイス制度とは、取引先から支払いを受け取る際に請求書(インボイス)を提出することで、消費税を申告する仕組みです。
インボイス制度とは、売り手が発行した請求書に基づいて、購入者が消費税を納付する方式のことを指します。
日本では、政府が消費税率の引き上げを実施する際にインボイス制度が導入されました。
具体的には、2014年4月から8%に引き上げ、2019年10月から10%に引き上げられた際に導入されました。
この制度は、消費税脱税の抑止や、国際競争力の強化を目的として導入されましたが、個人事業主にとっては負担が大きく、苦しめられる要因となっています。
インボイス制度は、消費税の脱税を防止することが目的です。
以前は、消費税を取り扱う中小企業において、取引先から支払いを受け取る際に請求書を提出することが義務付けられていませんでした。
そのため、支払いを受けたにもかかわらず、消費税を申告しないことがありました。
このような脱税が横行する中、インボイス制度は取引先が請求書を発行することで、取引の実態に基づく消費税申告が可能になり、脱税を防止することができます。
また、インボイス制度は、取引先とのやりとりが円滑になることも期待されます。
請求書を発行することで、支払いの期日や金額が明確になり、取引先が支払いを滞らせることが少なくなるとされています。
これにより、個人事業主が受け取る支払いの遅延や未払いによる経営リスクが減少することが期待されます。
一方で、インボイス制度は、個人事業主にとっては、手間や費用の増加をもたらすことが懸念されます。
個人事業主にとってインボイス制度が負担となる理由としては、手続きの煩雑さが挙げられます。
インボイス制度では、請求書の発行が必要であり、発行する請求書には一定の要件が求められます。
また、請求書の発行後には、購入者からの支払いを受ける必要があります。
このような手続きは、個人事業主にとっては大きな負担となります。
特に、経理や財務管理に詳しくない個人事業主にとっては、手続きの煩雑さがより一層深刻な問題となるでしょう。
インボイスの作成や保管、申告書類の作成などが必要となり、これらの作業に時間や人件費がかかるためです。
また、インボイス発行サービスを利用する場合、費用がかかるため、経費が増えることになります。
さらに、インボイス制度は、個人事業主にとって税負担が増加する要因となります。
一般的に、個人事業主は消費税納税者として、消費税を支払うことが求められます。
しかし、インボイス制度では、消費税を納付することにより、個人事業主が納税する消費税額が増加する可能性があります。
これは、請求書の発行が必要であることにより、個人事業主が発行した請求書に基づいて、購入者が消費税を納付するためです。
つまり、個人事業主は、自身の事業に必要な仕入れや経費などにかかる消費税額を相殺できない可能性があるため、税負担が増加する可能性があります。
しかしながら、インボイス制度が導入された背景には、消費税脱税の抑止や、国際競争力の強化があるため、単純にこの制度を廃止することは困難です。
したがって、個人事業主が負担増になるとはいえ、これらの課題を解決するために、政府は、電子インボイスの導入を進めています。
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