日銀のヤバい評価損は想定内?保有国債の含み損が大問題でも円紙くず化の危機感
全期間で同レートだけ金利が上昇するのを金利の「パラレルシフト」と言います。
この理屈を取り入れて、日銀が保有する国債に対してどれだけの評価損が発生するかが話題になりました。
2022年12月の参議院予算委員会での質疑応答の際に、日銀副総裁の雨宮正佳氏の回答が物議をかもして衝撃を受けました。
要約すると、1%の金利上昇で28.6兆円、2%上昇で52.7兆円、5%で108.1兆円、11%だと178.8兆円もの評価損を背負ってしまうという内容でした。
異常ともいえるほどの金額なので、もはやイメージできないほどの数字です。
そもそも日本国の税収がの年間で70兆円に達していません。
日銀の引当金と準備金を合計しても2022年9月末の段階で約11.1兆円になっています。
つまり、これを考慮すると、1%のパラレルシフトの金利上昇してしまうと、完全に債務超過に陥ってしまいます。
大前提として、日銀は満期保有目的で債券を保持しています。
時価評価で含み損であっても、表面化しない含み損だともいえます。
銀行の有価証券レポートを見る場合、満期保有目的有価証券の含み損はそれほど気にしていません。
そのため、円が紙くずになるかどうかは極めて可能性が薄いと考えられます。
万が一起こりそうであるならば、もう既に市場は想定済で織り込んでいます。
ところが、為替レートが押し戻しているのを考慮すると、市場では円の消滅を想定していないことになります。
つまり、日銀の含み損拡大はすでに想定していたと思われます。
日銀に対する信用が失墜して円が売られるという最悪なところまでは誰も想定していないでしょう。
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