なぜボーナスが伸び悩む?日本企業のボーナス上昇のブレーキとは
日本のボーナス水準は、近年停滞傾向にあります。
2023年冬のボーナス平均額は802,800円と、過去最高を記録しましたが、それでも主要国と比べると低水準です。
ボーナスが上がらない原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
【1】労働生産性の低さ
労働生産性とは、労働者が1時間に生み出す付加価値のことです。労働生産性が高ければ、同じ時間働いてもより多くの利益を生み出すことができます。
日本の労働生産性は、主要国と比べて低水準です。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、2021年の日本の労働生産性は、米国の約7割、ドイツの約8割に留まっています。
労働生産性が低いということは、企業が同じ利益を得るためには、より多くの労働者を雇用するか、より長時間労働をさせる必要があります。そのため、ボーナスなどのインセンティブを増やす余裕がなくなるのです。
【2】終身雇用・年功序列制度
終身雇用・年功序列制度とは、企業が従業員を一生雇用し、勤続年数に応じて給与や待遇を高める制度です。
終身雇用・年功序列制度は、従業員の安定した生活を保障するメリットがありますが、一方で、企業の賃金決定を硬直化させてしまうというデメリットがあります。
従業員の給与は、勤続年数や職位によってほぼ自動的に決まってしまうため、労働者の貢献度や企業の業績に応じてボーナスを増やすことが難しくなります。
【3】人件費への圧力
近年、日本企業は、グローバル化の進展や少子高齢化に伴う労働力不足などにより、人件費への圧力が高まっています。
企業は、人件費を削減するために、ボーナスのカットや、賞与制度の見直しなどを実施するケースが増えています。
これらの原因により、日本のボーナス水準は、今後も停滞傾向が続くことが予想されます。
ボーナスが上がらないことは、従業員のモチベーション低下や、企業の競争力低下など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
ボーナス水準を改善するためには、労働生産性の向上や、終身雇用・年功序列制度の見直しなど、根本的な改革が必要と考えられます。
具体的には、以下の施策が考えられます。
■労働生産性の向上
労働生産性を向上させるためには、ITやAIなどの先端技術を活用した生産性改革や、働き方改革による労働時間の短縮などが有効です。
■終身雇用・年功序列制度の見直し
終身雇用・年功序列制度の見直しとしては、成果主義に基づく賃金制度の導入や、役割や成果に応じた人事評価の導入などが考えられます。
また、労働者のスキルアップやキャリアアップを支援するための教育訓練の充実も重要です。
これらの施策を進めることで、日本のボーナス水準の改善と、企業の競争力強化につながることが期待されます。
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