FRB利下げ10年半ぶりの理由と影響

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は政策金利を引き下げることを決めました。

金融政策を決める会合を開き、中国との貿易摩擦が長期化して景気が減速するのを防ぐのも目的です。

FRBが利下げを決行するのはリーマンショックが起きた2008年12月以来、およそ10年半ぶりです。

FRBは2日間の日程で金融政策を決める会合を開き、声明を発表しました。

アメリカ経済は失業率は低水準で緩やかに拡大しているものの、米中貿易摩擦などで景気の先行きが不透明だと判断したようです。

政策金利を0.25%引き下げて2%から2.25%の範囲とすることを賛成多数で決定しました。

声明文が公表された直後は、予想通りの0.25%の利下げで、市場は「織り込み済」といった反応で、ほぼ動かなかったのですが、記者会見での姿勢でさすがにセンチメントが悪化しました。

また、手持ちの国債などを減らして、金融引き締めていく政策も2か月前倒しで終了するとして、景気に配慮する姿勢を鮮明にしました。

その一方で、パウエル議長はさらなる利下げについては慎重な姿勢だと受け止められ、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は一時、470ドルを超える大幅な下落となりました。

FRBの金融政策をめぐっては、来年の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領が、経済成長を加速させるため、パウエル議長に対して、繰り返し利下げを求めていて、中央銀行の独立が揺らぎかねない事態となっていました。

■景気の下振れリスクを回避

FRBのパウエル議長は、記者会見で10年半ぶりの利下げに踏み切った理由について、「世界経済の弱さと貿易摩擦の不確実性による景気の下振れのリスクを確実に回避し、経済に及ぼしている影響をおさえる狙いだ」と述べ中国との貿易摩擦の長期化などによる景気の減速を未然に防ぐための措置だという考えを示しました。

また、トランプ大統領の求めに応じて利下げを決めたのではないかと問われたのに対して、「今回の行動は世界経済の弱い成長と貿易の緊張による負の影響を減らすもので、景気の下振れリスクに対処したものだ。」と述べ、トランプ大統領の圧力が政策判断に影響しているという見方を否定しました。

利下げ決定ながら、パウエル議長の会合後のコメントは、0.5%すら期待した市場よりは慎重で、「Hawkish rate cut (タカ派的利下げ」。

「緩和サイクルの開始ではなくmid cycle adjustment (サイクル中盤での調整)と強調していました。

貿易問題やBrexit等の不透明感から、年内あと一回の利下げはありそうですが、金融機関のリスクテイクぶりを見ると、現時点でそれ以上を期待するのはやや行き過ぎと感じます。

あくまで、景気減速に備えるための保険的意味合いの利下げ。

もし本当に景気が減速するなら、FRBの狙い通りでしょう。

利下げが景気拡大を加速することになっても、すぐにインフレ率が2%を超えることはなさそうです。

どちらに転んでも大丈夫という判断だと思います。

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