政府主導の「働き方改革」の動向として、残業時間の上限を設定しています。
繁忙期など特別の場合でも月間100時間未満とする法案が政労使会議で合意されています。
残業は長時間労働の原因になっているので昔から問題になっています。
国や企業、労働者の三者は再び考慮する時期だと思われます。
定額残業制(みなし残業制)は、毎月決まった時間の残業があることを想定しあらかじめ固定の残業代を支払う制度です。
効率よく仕事して業務を遂行すればメリットあると肯定する意見もあります。
その一方で、労働者の定額使い放題という意見もあります。
実際のところ、定額残業制はどのように運用されるべきものなのでしょうか?
定額残業代が給与に含まれている場合、その時間分、絶対に残業しなければならないのでしょうか?
■定額残業代もらうと定時退社はダメ?
定額残業代を貰っているならば、毎日定時退社で残業をまったくしないのは契約違反になりますか?
みなし(固定払い)残業代は、現実の残業が規則等で定めた時間分以下の場合は給与金額が決まったものであり、“その分残業しなければならない”という規則ではないです。
労働者は実際の残業時間が定められた残業時間を越えた場合、追加の残業代はもらえないのでしょうか?
定額残業制は労働者の定額使い放題ではありません。
会社は従業員が超過分も働いたらその分支払わなければなりません。
おそらく、きちんと超過分を支払っていない会社もあるかもしれません。
“超過した場合は超過分については支払うこと”が法令遵守されなければならないです。
これは固定払い残業代制度の有効性の絶対要件です。
しかし、しっかりタイムカード等で労働時間を管理していないと、定額残業制をとっていること自体が有効と認められないです。
きちんと運用されないで、定額残業制が無限残業となっているのも問題になっています。
会社が一定時間を超過した分の残業代を支払わないのは違法性が認められています。
電通の過労死の事件以後、長時間労働の取締が厳しくなっています。
“残業しないと損”になるような制度は、会社としてデメリットとなるのは必至です。
また、実際の時間をチェックして超過分は繰り越し、という制度にする場合、これは“現実時間分ちょうどを毎月払う”という原則通りの対応と同じことになると思われ、企業側の管理コストも変わりません」(伊東弁護士)
定額残業制の本来の目的は、従業員を管理する企業側の負担を減らすことです。
実際の残業が定められたみなし時間内の残業であれば、企業側は毎月の計算が不要になります。
一方で、労働者は実際の残業時間以上の残業代を受け取ることができます。
つまり、雇用主と従業員の双方にメリットがある制度となります。
しかし、残業時間がみなし時間を越えた場合、グレーな対応をする企業があるのも事実です。
勤務データーの改ざんするようなブラック企業の一つとして、飲食店の店舗社員は「みなし残業」という理由から長時間労働させられているケースも多いです。
その反対に、友人の会社は見なし残業10時間ありますが、基本労働時間を越えないし、越えた分は残業代が支払われるし、繰り越しもありません。
本社の総務部長によると、電通事件以降グループ全体で厳しくなったそうです。
残業時間の取扱が雇用契約書や就業規則などにどのように記載されているのか、きちんと確認してみてほしいです。